光コラボレーションモデル?

ここ数日各社から家庭用ブロードバンドサービスの発表が相次いでいます。ニュース記事には「光コラボレーションモデル」という単語が飛び交っていますが、これをおおざっぱに説明すると、次のような話になります。

光コラボレーションモデル
光コラボレーションモデル

従来でも、いくつかのISPではフレッツ光の料金とISPの料金を合算して請求する仕組みがありました。1これあくまで請求がまとめられているだけで、契約はNTT東西とISPの両方と個別に結んでいます。また、サポート窓口も別々で「フレッツ光(光回線)のことはNTT東西に」「インターネットのことはISPに」と区別して問い合わせる必要がありました。2

これが「光コラボレーションモデル」では、契約がISPに一本化されます。従来のフレッツ光に相当する光回線も、ISP機能も、どちらもISPとの契約によって提供されます。もちろん請求もISPが一括して行いますし、窓口もISPに統一されています。これが従来との大きな違いです。

IIJmioでもこの光コラボレーションモデルを利用したサービス、「IIJmioひかり」を開始します。3「IIJmioひかり」では申し込みはIIJmioが一括して受け付けますし、利用開始後も「インターネットが繋がらない」というお問い合わせだけでなく、「電話が繋がらない」や「引っ越したので回線を移転したい」というお問い合わせもすべて、IIJmioのサポートセンターで承ることになります。

なお、光回線の工事については、IIJmioからNTT東西に依頼を行い、NTT東西から派遣された工事担当者が実施します。

※サービスの予約受付は2015年2月26日より開始します。詳細な情報は2月26日に公開しますので、今しばらくお待ちください。

と言っても皆さんいろいろ気になることがあると思います。注目されているのは次の3点かと思いますので、今回の記事ではポイントを絞ってご紹介いたします。

IIJmioのSIMとセットで600円割引
現在利用中のフレッツ光からの移行
従来のサービスとの違い

mio割 (SIMとセット割引)

IIJmioひかりの利用料金は次の通りです。(詳細はプレスリリースをご覧ください)

IIJmioひかり 月額料金
IIJmioひかり 月額料金

IIJmioひかりをご利用の方が、IIJmio高速モバイル/Dもご契約の場合、600円割引となります。

なお、IIJmioひかりは契約後24ヶ月の最低利用期間を設けています4が、それ以降はどのタイミングであっても解約可能です。2年縛りのような契約方式ではありません。

ポイント

  • IIJmio高速モバイル/Dの契約は、データ通信専用SIM・SMS対応SIM・音声通話対応SIM(みおふぉん)のどれでも構いません。また、ミニマムスタート・ライトスタート・ファミリーシェアのどのプランでも構いません。
  • IIJmioプリペイドパックのSIMは割引対象になりません。プリペイドパックから月額プランへアップグレードを行っている場合は、割引対象になります。
  • 割引額は、IIJmioひかり1回線に対して600円です。IIJmio高速モバイル/Dを複数契約していても1回線に対する割引額は増えません。IIJmioひかりを2回線以上契約している場合、IIJmio高速モバイル/Dの契約数に応じてそれぞれの回線から600円ずつ割引が行われます。(例: IIJmioひかり 3回線契約 + IIJmio高速モバイル/D 2回線契約→IIJmioひかり2回線分に、それぞれ600円割引)
  • mio割を受ける場合、IIJmioひかりとIIJmio高速モバイル/Dを同じmioIDで契約している必要があります。mioIDが異なる(名義が異なる)場合割引対象にはなりません。
  • IIJmioブランドのSIM以外に、BIC SIM・ELSONIC SIMでも割引対象になります。SIMの契約時に発行されたmioIDを使ってIIJmioひかりに申し込んでください。

現在利用中のフレッツ光からの移行

現在NTT東西のフレッツ光を利用している場合は、既存の設備をそのままIIJmioひかりに移行できます。これを「転用」と呼んでいます。設備を転用すれば自宅内の工事が不要ですし、現在利用中のひかり電話の電話番号もそのまま引き継げます

転用を行う場合の初期費用は1,800円です。転用時に工事を行う必要が無い場合は、これ以外の費用はかかりません。転用でももちろんSIMとのセット割引が受けられます。

ポイント

  • 設備をそのまま転用できるのは「フレッツ光ネクスト」(ファミリー各タイプ・マンション各タイプ)のみです。「フレッツ光」以前から提供されている「Bフレッツ(含、フレッツ・光プレミアム)」と「フレッツ光・ライト」をご利用の方は、IIJmioひかり転用時に工事が必要になります。
  • 「フレッツADSL」「フレッツISDN」は転用できません。
  • 設備の転用を行う場合、転用前と転用後の最高通信速度は同じです。転用のタイミングで通信速度の速いタイプに変更する場合は、工事費がかかります。
  • 転用前に使用していたISPの契約は自動的には解約されません。旧ISPのサービスを利用しない場合はご自身で解約を申し込んでください。
  • ひかり電話契約中のNTT東西のフレッツ光から転用した場合、ひかり電話の電話番号は引き継がれます。

転用の手続きの詳細はNTT東西より案内されています。NTT東日本NTT西日本

従来のサービスとの違い

IIJmioひかりサービスの提供内容はおおむね従来のフレッツ光相当です。おおむねと書いたとおり、いくつかの違いがありますので、重要な点をまとめてみました。

ひかり電話の機能

NTT東西のひかり電話には多数のオプションサービスがありますが、IIJmioひかりではそのすべてに対応しているわけではありません。IIJmioひかりで対応しているオプションは、以下のもののみです。(それぞれオプション料金が必要です)

NTT東西のひかり電話でのオプション 対応するIIJmioひかりのオプション
ナンバー・ディスプレイ 発信元番号表示
キャッチホン 割り込み電話着信
ナンバー・リクエスト 非通知番号ブロック
迷惑電話お断りサービス 迷惑電話ブロック

また、ひかり電話A(エース)・安心プラン・もっと安心プランのような、無料通話を含んだプランは提供いたしません。通話料金自体はひかり電話と同額です。

IPv4アドレスは動的グローバルアドレスです

IIJmioひかりで提供するIPv4アドレスは、動的グローバルアドレスです。

なお、IIJmioひかりで提供するPPPoEアカウントを使用せず、別途契約したフレッツ光対応のISPを使用することも可能です。たとえば今まで固定IPアドレスのISPサービス(IIJmio FiberAccess/SFや、他社サービス)を利用して自宅サーバを公開していた方は、そのISPサービスを継続して利用することで、従来同様固定IPアドレスで自宅サーバ公開することが可能です。

PPPoE複数セッションは利用可能です

フレッツ光では複数のPPPoEセッションを使って、異なるISPに接続することができました。IIJmioひかりでも、この機能は利用可能です。IIJmioの接続サービス(IIJmio FiberAccess各シリーズ)でも、他のISPの接続サービスで利用可能です。

同時接続セッションの追加は、提供していません。

IPv6はPPPoE方式で

IIJと言えばIPv6です。IIJmioひかりではPPPoE方式でのIPv6に対応していますので、対応機器をお持ちの方はIPv6が利用できます。5フレッツv6オプション相当の機能は標準で提供いたしますが、IPoE方式によるIPv6インターネット接続は対応していません。このため、DS-LiteによるIPv4接続はご利用いただけません。

2/5 18:35 追記: IPoE方式によるIPv6接続、DS-LiteによるIPv4接続への対応を検討しています。対応時期などは未定です。

通信速度は?

NTT東西のフレッツ光から転用を行った場合は、転用前の設備をそのまま使いますので通信速度もそのままです。

新規にIIJmioひかりを申し込む場合は、フレッツ光各タイプ相当の通信回線が選べます。と言っても、どの回線を選んでも月額の費用は変わりませんので、上り・下りともに最大1Gbpsの回線がおすすめです6

回線開通後に別の回線種別に変更したい場合は、IIJmioの窓口にお問い合わせください。(工事費が必要になります)

設置機器は?

自宅に設置する機器は、フレッツ光のホームゲートウェイ相当の機器(IIJmioひかり対応ルータ)をレンタルすることもできますし、ご自身で用意することもできます。

レンタルで提供するルータにはひかり電話機能とWi-Fiアクセスポイント機能搭載されています。7ひかり電話を利用する場合はレンタルでご利用頂くことがおすすめです。

レンタルを行わない場合は工事担当者がONUを設置します。(ONUにレンタル費用はかかりません)ブロードバンドルータなどをご自身でご用意ください。

インターネットが使えない期間を最短にするためには

「転用」を行う場合、NTT東西からIIJへ契約を変更するための手続きが行われます。こういう時にありがちなのが、「手続きを行った瞬間に(あるいは、予期しないタイミングで)通信が切断されるのでは?」という不安です。

インターネット接続が途切れるといろいろ不都合がある方も少なくないと思います。次のような手順で転用を行うと、通信が途切れる時間をご自身でコントロールしつつ、最短にとどめることができます。

  1. NTT東西に転用の申し込みを行う (「承諾番号」が発行されます)
  2. IIJmioひかりに申し込む (「承諾番号」を入力する)
  3. 光回線開通担当より、ご利用者にお電話で連絡を差し上げます (切り替え実施日を調整します)
  4. NTT東西・IIJで手続きを行う
  5. 転用完了の連絡がメールで行われる (3で指定した日)
  6. 利用者ご自身でホームゲートウェイ・ブロードバンドルータのPPPoEアカウントを変更する (ここで通信が途切れる)
  7. 旧ISPの解約手続きを行う

ポイントは、6を行うまで旧ISPの解約手続きを行わないことです。転用の申し込みや手続きを行っても、通信(PPPoEのセッション)は切断されないため、旧ISPの契約さえ残しておけば、インターネット接続が途切れることはありません。あとは、ご自身のタイミングで設定変更を行えば、切り替えの影響を最小限に抑えることができます。

なお、1で発行される「承諾番号」には有効期限がありますので、続く手続きは速やかに行ってください。また、3のお電話が繋がらないと、切り替え手続きがストップしてしまいます。お電話を差し上げるタイミングは2の申込時に指定していただけますので、できるだけご都合の良い日をご指定ください。

IIJmioでモバイル+自宅をそろえると?

現在IIJmioのSIMをご利用の方が、自宅の回線もIIJmioひかりに変更した場合、このような金額になります。(マンションにお住まいの方。電話はみおふぉんにまとめる場合)

みおふぉん+IIJmioひかり 月額料金
みおふぉん+IIJmioひかり 月額料金

今までにも、フレッツ光とIIJmio FiberAccess/NFを契約することで自宅でもIIJmioのインターネット接続を使うことができました。が、こちらをみおふぉんとセットにすると、7,050円/月8と、少々お高めでした。IIJmioひかりではみおふぉんのSIMとセットにしても4,960円と、かなりお値打ち価格になっています。是非、この機会に自宅にもIIJmioを導入してみてください。


  1. OSM(ワンストップメニュー)や、「with フレッツ」と呼ばれています。 []
  2. いくつかのISPでは、独自の光ファイバーやADSLを利用するサービス、無線アクセス回線を利用するサービスを提供していますが、今回の記事では説明を割愛いたします。 []
  3. IIJmioひかり受注開始後も従来のISPサービスは継続します。新規お申し込みも可能です。 []
  4. 期間内に解約する場合は、解除調停金5000円を申し受けます []
  5. 「ひかり電話ルーターのIPv6によるインターネット(IPv6 PPPoE)接続」(NTT東日本NTT西日本)には、後日対応予定です。 []
  6. マンション向け回線の場合、マンションに導入されている機器により最高速度が変わる場合があります。 []
  7. Wi-Fi機能が不要な場合は、Wi-Fiカードを取り付けずにご利用ください。 []
  8. フレッツ光・マンションタイププラン1と組み合わせた場合 []

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