iPhone・iPadの「設定」の仕組み

このblogの特集コンテンツ「IIJmio高速モバイル/D iOS別 iPhone・iPad動作状況」でもご紹介しているとおり、IIJmio高速モバイル/DのSIMカードは、iPhoneやiPadなどのiOSデバイスでも利用できます。ところが、注意書きにあるとおり「設定画面からAPNを設定できないので、APN構成プロファイルをインストールしてください」という制限があります。いったい何故こんなことになっているのでしょうか?

iOSの設定
iOSの設定

iOSでは通信の設定を行うための仕組みがいくつかあり、実際にiOSデバイスが動作するときは、これらの設定がすべて参照されます。



「キャリア設定」のバージョン表記
「キャリア設定」のバージョン表記

一つは、iOS内部に格納されている「キャリア設定」です。これは世界中のキャリア(通信事業者)の情報をAppleがとりまとめて配信しているもので、利用者やMVNO事業者が書き換えられるものではありません。iOSの「設定」からバージョン番号だけが確認できます。

もう一つの仕組みは、「構成プロファイル」です。構成プロファイルはAPNの設定以外にも、VPNの設定やメールアドレスの設定、アプリの設定など、様々な設定を行うことができます。元々は、企業でiOSデバイスを一括導入する際に、沢山のデバイスに同じ設定を効率的に配布するために用意された仕組みでした。構成プロファイルは専用のツールを使うことで、誰でも作成できます。

最後が「設定」アプリです。これは皆さんにもおなじみの通り、iOSの画面で「設定」をタップすると表示されるものです。

これらの設定の仕組みは、それぞれ設定できる項目が異なります。例えば、IIJmioを利用するために必要なAPN設定は、iPhoneの機種によっては「設定」アプリからはできません1が、構成プロファイルからであれば設定が可能です。このため、IIJmioを利用する際には、構成プロファイルを使ってAPNの設定をお願いしていました。

なお、構成プロファイルでも設定できない項目もあります。例えば、テザリングを許可するかどうか、IPv6を許可するかどうかなどは、構成プロファイルでは設定することができません。幸いキャリア設定にテザリングは許可と記載されているため、IIJmioでもテザリングを利用することはできます。しかし、IPv6はキャリア設定で不許可と記載されているため、構成プロファイルをどう設定してもIIJmioではIPv6は利用できません。

設定可能な項目・不可能な項目
設定可能な項目・不可能な項目

APN PayloadとCellular Payload

構成プロファイルの仕様は、Appleからある程度公開されています。

構成プロファイルの中には、Payload(ペイロード)という単位で様々な設定を記述します。ところで、上記のリファレンスにも書かれているとおり、iPhone・iPadで通信を行うための設定には「APN Payload」と「Cellular Payload」の二種類が存在します。リファレンスに書かれているとおり、APN PayloadはiOS 6以前から使われていた古いもので、現在はCellularペイロードが推奨されているものの、現時点ではAPN PayloadもCellular Payloadもどちらも利用可能です。

実は、iOS 8になるときに、APN payloadが完全に廃止されるという話がありました。IIJmioで配布していたAPN構成プロファイルはAPN Payloadで記載していたため、APN Payloadが廃止されるなら皆さんに構成プロファイルのアップデートをお願いしなければなりません。その可能性を考慮して、てくろぐで実験的にCellular Payload版のAPN構成プロファイルを配布し、様子を見ていました。

しかし、結局正式に公開されたiOS8ではAPN Payloadが廃止されず、現在でも利用可能な状態です。さらに、上記の配布ページにあるとおり、Appleが配布する公式ツールではCellular Payloadを含んだ構成プロファイルを作成することができない、また、Cellular Payloadを使うことによるメリットが見つからなかったため、公式配布のAPN Payload版の差し替えは行わないことにしました。

Cellular Payload+パラメータ追加で安定性向上?

ところが、最近になって新しくわかったことがあります。構成プロファイルにおいて、Cellular Payloadにのみ存在する特定のパラメータを追加することで、iPhone・iPadでの通信の安定性が向上するようなのです。

docomo網を使ったMVNOサービスでiPhone・iPadのLTE接続が安定する

従来、IIJmioのSIMカードをiPhone・iPadに取り付けた場合、「LTE圏内なのに、3Gで接続してしまい、なかなかLTEで繋がらない」「通信ができるようになるまで極端に時間がかかる」という現象がありました。パラメータを追加することでこういった現象が改善し、速やかにLTEで接続できるようになりました。

KDDI au LTE網を使ったMVNOサービスでもiPhone・iPadが通信できる

従来、KDDI au LTE網を使ったMVNOサービスのSIMカードでは、iPhone・iPadは一切通信ができませんでした。IIJが提供する法人向けのMVNOサービスに同じパラメータを追加したAPN構成プロファイルを適用したところ、iPhone・iPadでもデータ通信ができるようになりました。

IIJのau KDDI LTE網を使ったMVNOサービス

IIJが法人向けに提供しているMVNOサービス「IIJモバイル」では、IIJモバイルサービス/タイプKとして、KDDI au LTE網を用いたプランを提供しています。

IIJは2015年3月より、docomo 3G/LTE網に加え、KDDI au LTE網とレイヤー2接続を行い、MVNOサービスを提供開始しました。

IIJが提供しているKDDI au LTE網のMVNOサービスはデータ通信のみで、音声通話機能はありません。試しに、他のKDDI au LTE網を使ったMVNOサービスのSIMで実験したところ、同じパラメータを追加することで3Gでの音声通話が利用可能でした。ただし、データ通信があまり安定しないようです。MVNOによる挙動の違いがあるのかもしれません。

APN構成プロファイルCellular Payload版(パラメータ追加済み)の先行配布

IIJmioホームページで配布しているAPN構成プロファイル(みおぽん内蔵を含む)に先立ち、Cellular Payload版のAPN構成プロファイルをてくろぐで先行して配布します。現時点ではまだβ版的な位置づけですが、新しい物好き、実験好きの方はどうぞお試しください。なお、問題が生じた場合は、当該プロファイルをアンインストールし、従来のAPN構成プロファイルをインストールすることで戻すことが可能です。

IIJmio APN構成プロファイルCellular Payload版(パラメータ追加済み) ダウンロード

※注意: ご自身でトラブル対応が可能な方のみお試しください

なお、iPhone6などで既に安定してLTEの接続ができている場合は、それ以上に通信環境が改善するわけではありません。あくまでLTEで接続しにくかったケースが改善されるものです。

  1. docomoが発行したSIMを本体に取り付けている場合は、キャリア設定の記述により、設定アプリのAPN設定画面が表示されません。 []

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