IIJでは広報誌「IIJ.news」を隔月で発行しています。本blogエントリは、IIJ.newsで連載しているコラム「インターネット・トリビア」と連動しています。
コラムの前半部分はIIJ.news vol.119(PDFで公開中)でご覧下さい。

モバイル通信サービスに欠かせないSIMカードについて、前半で紹介しました。

ところで、このSIMカードにはいくつかサイズ違いがありますが、少し用語が混乱しています。例えば、IIJmioで「microSIM」と呼んでいるものは、docomo用語では「ドコモminiUIMカード」と表記されます。他のキャリアでも微妙に表記が違います。これ、正式にはなんと呼ぶのか気になりませんか?

IIJmio 標準SIM microSIM nanoSIM
docomo ドコモUIMカード ドコモminiUIMカード ドコモnanoUIMカード
au au ICカード micro au ICカード au Nano ICカード
Softbank USIMカード micro USIMカード nano USIMカード
emobile EM chip(USIMカード) EM chip (未発行)

もともとはクレジットカードサイズ

契約直後のSIMカードは、クレジットカードサイズのプラスチックに囲まれていて、スマートフォンに差し込む部分を折り取って使います。この折り取る前のカード、まさに規格はIC搭載クレジットカードと同じで、日本国内だとクレジットカード以外にはB-CASカードや住基カード(接触式)として使われています。国際的には、ISO/ICE 7810 “ID-1″および、ISO/IEC 7816という規格で定められています。

実は、日本でも初期の携帯電話(自動車電話)ではこのクレジットカードサイズのカードをそのまま使っていた機種もあったのだそうです。あんな大きさのカードをどうやって取り付けていたのかというと、そもそも電話機が非常に大きく、手に持つハンドセット以外に車に据え付ける本体部分が分かれていたのです。カードは本体部分に取り付けられていました。1これがSIMカードの最初の形なんだそうです。

流石に小型化した携帯電話にフルサイズのカードを差し込むのは無理ですので、より小さなカードとしてISO/ICE 7810 “ID-000″というサイズのカードが使われるようになりました。これが今で言う「標準SIM」です。

SIMカードの規格は?

その「標準SIM」、正式にはなんという名称なのか、規格書をみてみました。

SIMカード(UICC)の物理規格はETSI TS 102 221で定められています。これによると、SIMカードのサイズ表記は以下のように書かれています。

  • ID-1 UICC
  • Plug-in UICC
  • Mini-UICC
  • 4FF

“ID-1 UICC”は先ほど書いたクレジットカードサイズのものです。そして、「標準SIM」に相当するものは”Plug-in UICC”です。つまり、携帯電話の中に差し込める(Plug-in)と言うことですね。

ここまでは良かったのですが、次の「microSIM」に相当するSIMは、”Mini-UICC”が正式な名称だと言うことです。2さらに、「nanoSIM」に至っては”4FF”と書かれていて、”nano”はおろかサイズを示す英単語すら含まれておりません。

標準化団体のETSIで「nanoSIM」の規格が定められたのは2012年6月の事だそうですが、その時のプレスリリースを見ても確かに「The fourth form factor (4FF)」と書かれており、nanoの文字は出てきていません。標準的な規格名としての「nanoSIM」は存在しないのです。

実際には日本でも世界でも「microSIM」「nanoSIM」といえば意図は伝わるので困りはしませんが、正式な規格名と一般的に使われる名称が食い違っているのは混乱しますね。なんだか不思議な話です。

  1. 残念ながら私は実物を見たことはなく、写真で確認しています。 []
  2. 「ドコモminiUIMカード」の”mini”はここから来ているのでしょう。 []

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