IIJでは広報誌「IIJ.news」を隔月で発行しています。本blogエントリは、IIJ.news連載コラム「インターネット・トリビア」を転載したものです。IIJ.newsはご希望者へ郵送でお送りしています。また、IIJ WebではPDF版をご覧頂けます

IIJ.news vol.141 もくじ

iijnews138

  • ぷろろーぐ「新聞紙で保温」 鈴木 幸一
  • Topics フルMVNO IIJの挑戦
    • フルMVNOへ向けて前進する IIJのMVNO事業
    • 「青少年インターネット環境整備法」について
    • 対談 つながることで社会が変わる
    • 世界のMVNOのビジネスモデル
    • 「格安スマホ」にまつわる誤解と実際
  • 人と空気とインターネット シンギュラリティの先にあるもの
  • Technical Now
    • リニューアルした Leap GIO Public
    • IIJ GIO POSサービス 事例紹介
  • インターネット・トリビア ユニバーサルサービス ※この記事で掲載
  • グローバル・トレンド Japan Travel SIM ヨーロッパでの展開

それぞれの記事はIIJ.news PDF版でお読み頂けます。

インターネット・トリビア: ユニバーサルサービス

格安スマホ・SIM の契約でも、大手携帯電話会社の契約でも、月々の利用料金明細書を見ると、通信費やスマートフォンの分割払いの代金以外に、毎月数円程度の「ユニバーサルサービス料」という費用が計上されています。いったい、これはどういう費用なのでしょうか?

通信、エネルギー、医療など生活に重要なサービスのなかでも、社会全体にあまねく公平に提供されるべきサービスのことを「ユニバーサルサービス」と言います。ユニバーサルサービスが目指す公平性とは、どの地域に住んでいても、誰でも、妥当な費用で均質なサービスを受けられるということです。

日本の電気通信では、電気通信事業法第7条に「国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべきもの」として「基礎的電気通信役務」という呼称でユニバーサルサービスが定義され、電気通信事業法施行規則第14条で「電話(アナログ電話)、およびそれに相当する電話サービス」「公衆電話(総務省の基準に基づき設置されるもの)」「110番・118番・119番の緊急通報」の3つがユニバーサルサービスとして定められています。ここに挙げられた以外のサービス、例えば、光ファイバによるブロードバンドインターネット接続や携帯電話は、ユニバーサルサービスに含まれません。

ユニバーサルサービスは、前述の通り日本全国で利用できなければなりません。ところが、山中や離島などに通信サービスを提供するには、通信のための回線の敷設(場合によっては陸上無線や通信衛星の利用)、通信設備への電力供給、さらに、非常に高い維持管理コストがかかります。しかし、こうしたコストをそのまま受益者に負担させることは、ユニバーサルサービスの主旨に反します。ユニバーサルサービスである以上、高いコストがかかる地域でも、他の地域と同程度の利用料金でサービスを受けられなければなりません。

一方、ユニバーサルサービスを提供する電気通信事業者は民間事業者であり、収入に対してコストが著しく高い「赤字」サービスを提供し続けることは困難です。また、複数の民間通信事業者が競合するなかで、ユニバーサルサービスを提供する事業者が、提供しない事業者に比べて収支の面で不利になることは、ユニバーサルサービスの維持という観点からも看過できません。

そこで、日本では「基礎的電気通信役務基金制度」(ユニバーサルサービス制度)を設け、国によって指定された電気通信事業者(適格電気通信事業者)が、ユニバーサルサービスを提供することによって発生した赤字分について、その他の電気通信事業者(負担事業者)が拠出した負担金から交付を受けられるようになっています。これにより、ユニバーサルサービスを提供することが事業者にとって不利にならないように、そして、国民があまねく電気通信サービスを利用できるようにしているのです。

冒頭で紹介した「ユニバーサルサービス料」は、ユニバーサルサービス制度を維持するための負担金を、携帯電話の契約者の皆さんにご負担いただくものです。携帯電話自体はユニバーサルサービスではありませんが、携帯電話利用者はユニバーサルサービス料を負担する義務があります。携帯電話・PHS、IP 電話は、ユニバーサルサービスであるアナログ電話と相互に通話が可能であるということが費用負担の根拠の一つとされています。負担額は年度によって異なりますが、2017年度は約70億円で、これを負担対象の電話回線数で割って1回線あたりの単価を求めます。2017年7月以降は1回線あたり毎月3円をお預かりするかたちになっています。

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