本日(2月24日)18時30分より、この記事で取り上げた設備でライブ中継を実施します
IIJはネット中継も行っています
インターネット上のライブ中継というと、ustreamのようなお手軽なサービスが思い浮かびますが、IIJでも中継サービスを提供しています。最近の大きな事例では、2013年夏の甲子園大会のインターネット中継がありました。映像制作と中継Webサイトの運営は朝日放送様が実施され、動画データの配信をIIJが担当しました。
甲子園大会の中継は2011年から毎年実施していて、回を重ねる毎に規模が大きくなっています。2013年夏は、ピーク時で総帯域80Gbps・同時接続数11.8万という記録を樹立しました。
2013年夏の甲子園大会インターネット中継の技術的な側面は、IIJ Technical WEEK 2013の発表「甲子園ライブ配信」をご覧下さい。
ここまでの規模の中継はIIJでも特別な体制を敷いての実施となりますが、こういった大規模なイベントで培ったノウハウを投入したライブ中継サービスもラインナップしています。それが、2月17日にプレスリリースした「IIJ大規模コンテンツ配信サービス マルチデバイスストリーミング/Live」です。
マルチデバイスストリーミング/Liveは、「マルチ」の名前の通り、一つの素材を用意するだけで様々なデバイス(動画表示端末)に向けてライブ中継を行う事ができます。パソコン(WindowsやMac)はもちろん、スマートフォン・タブレット(AndroidやiOS)、ゲーム機(Wii UやPS3)、インターネット対応テレビ、HDMI接続のUSBドングルデバイスまで、動画形式を変換しながら配信します。
この「形式を変換しながら」というのがミソです。これだけ様々な種類の端末があると、映像素材の作成担当者がいちいち意識してデータを作り分けるのはほとんど不可能です。その部分を「よろしく」やってくれるのが、このサービスのいいところです。(ライブ中継ではない、オンデマンド配信サービスもあります)
コンサート中継で技術検証
突然ですが、IIJは、文化活動の一環として、クラシックコンサートを定期的に開催しています。三井住友銀行様にご協力頂き、大手町のオフィス街のど真ん中、三井住友銀行本店ビルディング メインエントランスホールを会場に、「TWILIGHT CONCERT」と銘打ち今までに54回のコンサートを開催してきました。
CSR トピック: トワイライトコンサートの舞台裏
このコンサート、実はライブ配信チームにとっての大切な実験の場でもあります。配信サービスの開発チーム自らコンサート会場でカメラを構え、収録した映像を開発中のサービスで中継してきました。そうした実験の中で熟成されてきたのが、冒頭で紹介した「IIJ大規模コンテンツ配信サービス マルチデバイスストリーミング/Live」なのです。
今日から本気出す
ですが、実は今までの「TWILIGHT CONCERT」はこの中継システムの真の力を発揮できていませんでした。何しろコンサート会場は銀行のロビーをお借りしています、そのため中継用のインターネット回線を敷設することができず、モバイル回線を利用するしかありませんでした。モバイル回線では十分な速度を出すことができませんので、現地にエンコーダ1を設置して低い画質のデータを作り、それをマルチデバイスストリーミング/Liveのインフラでパッケージング2して配信していたのです。これでは十分な画質が得られません。
ですが、本日の中継では新たな機材(映像伝送装置)が投入されます。この機材は複数のモバイル回線に分散して動画データを流すことで、撮影した動画を高品質なまま伝送することができるのです。しかも、複数のモバイル通信サービスを併用することで、安定して高画質な映像を送ることができます。
この機材を使うことで、会場からは高画質なまま映像を伝送し、IIJの設備内での高品質なエンコード・パッケージングを行うことができるようになりました。これでようやく「マルチデバイスストリーミング/Live」の本領が発揮できます。
ということで、本気を出したIIJの「マルチデバイスストリーミング/Live」、本日18時30分から中継開始です。是非一度中継をご覧下さい。外出先でもスマホで見られますよ。
機材協力: ソリトンシステムズ株式会社様 (Smart-telecasterHD)