IIJでは広報誌「IIJ.news」を隔月で発行しています。本blogエントリは、IIJ.newsで連載しているコラム「インターネット・トリビア」と連動しています。
コラムの前半部分はIIJ.news vol.111(PDFで公開中)でご覧下さい。

時代はSNSのメッセージ機能?

コラムの前半では「インターネットに流れているメールのうち六割以上が迷惑メールと推定される」という事を紹介しました。確かに現在のインターネットメールは迷惑メールが氾濫してしまい、迷惑メールフィルタのような仕組みがないとそこで生活するのは難しいという状況になっています。

一方で、電子メールと似たようなコミュニケーションの手段として普及しているのが、SNS上のメッセージサービスです。SNSによって細かい仕組みは違いますが、「メッセージ」や「DM」「ミニメール」などと呼ばれているものです。これらのサービスでは、メッセージを送ることができるのはあらかじめそのSNS上で登録された友達のみに限定するという仕組みを取り入れることが多いようです。友達からのメールしか届かないのであれば、迷惑メールが紛れ込む余地がありません。「知り合いとの連絡には電子メールは使わない、SNSのメッセージしか読まない」と言う人も現れました。

結局電子メールから離れられない?

このように、SNSのメッセージサービスの利用が増えているのは事実です。しかし、SNSの普及によって電子メールが用済みになったというわけではありません。むしろ、SNSの普及によって電子メールの数が増えているという側面もあります。

たとえば、SNSでは新規にメッセージが到着した際に、電子メールで通知が届きます。それだけにとどまらず、友達登録のリクエストが来たとき、投稿にコメントがついたとき、はたまたSNS上のアプリ(ゲームなど)が利用されたときなど、あらゆる局面でSNSからメールが飛んできます。SNS上で起こったイベントを利用者に速やかに通知するためには、電子メールのように、インターネット上の"ほぼ"どこへでも届き、多くの人が着信に気を配っている媒体が便利なのです。

最近はSNSからの通知にも変化が出てきています。大きなトピックはスマートフォンの普及です。SNS専用のスマートフォンアプリが提供されることが増えてきていますし、そもそもスマートフォンで使うことが前提のSNSもあります。こうしたアプリはスマートフォン本体のLEDやアイコンを使ってイベントを通知してくれます。この方法だと電子メールの送信を減らすことができそうです。

SNSからの通知メール、『偽物』にご用心

その大量にやりとりされるSNSからの通知メール。残念ながらここにも悪いことを考える人が潜んでいます。

実際にあった事例として、有名なSNSサービスからの通知のふりをした、偽物の通知メールが送りつけられた、ということがあります。偽物のメールでは、いかにもSNSから何かのメッセージが届いたように装いながら、本物のSNSサイトそっくりに偽装した偽物のサイトにログインするように誘導します。その目的は、SNSのパスワードを盗むことです。

SNSが利用者本人の個人情報のかたまりであることはご承知の通りです。しかし、より重要なのはSNS上の「友達」関係です。ある人のパスワードを盗むことで、その人の友達に対して「なりすました」メッセージを送ることができます。そうやって、どんどんとその人の友達に対して攻撃を広げて行くのです。パスワードを盗まれた本人に大きな被害がなかったとしても、その周囲に対して甚大な被害が生じる可能性があります。くれぐれも、そのような「偽物」に引っかからないようにご注意下さい。

こうした偽物メールの多くは、本物のSNSサイトのドメインによく似たドメインから送信されることが多いようです。たとえば、本物のSNSが「example.jp」だったとすると、「bbexample.jp」や「exanple.jp」のような誤認しやすいドメインが使われることが多いようです。それっぽいメールを受け取ったときには、闇雲にURLをクリックするのではなく、一呼吸置いておかしなところが無いか確認してみることが重要です。