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格安スマホと「緊急地震速報」「防災情報」「Jアラート(ミサイル発射情報)」(2017年版) (2017.09.05掲載)
ミサイル発射情報を受信できるスマホは限られます
本日消防庁から発表があり、ニュースでも取り上げられていますが、国が発信する「日本に向けた弾道ミサイル発射情報」などの速報は、IIJmioのような「格安スマホ」各社が取り扱うスマートフォンでは受信できないことがあります。
利用中の通信会社 | お使いのスマートフォン | 受信可否 |
---|---|---|
格安スマホ各社 (MVNO各社) |
iPhone (5c/5s以降の機種) | 受信可能 |
iPhone以外の SIMフリースマートフォン (格安スマホ各社が販売) |
受信が確認できていません | |
docomo, au, SoftBank, Y!mobileブランドのスマートフォン※ | 受信可能 |
※docomo, au, SoftBank, Y!mobileブランドのスマートフォンの中で、以下のリストに載っている機種のみ受信可能です。docomoブランドの機種はIIJmioモバイルサービス タイプDなどのdocomo回線MVNOで、auブランドの機種はIIJmioモバイルサービス タイプAなどのau回線MVNOでの利用を想定しています。(SoftBankブランド、Y!mobileブランドについても同様)
格安スマホ(MVNO)をご利用でも、上記「受信可能」と書かれた機種をお使いであれば、ミサイルの発射情報を受信することができます。
「受信可能」以外のスマートフォンをお使いの方は、これらの速報を受信するためのアプリを使うことを、消防庁が推奨しています。
JアラートとSIMフリースマートフォン
「日本に向けた弾道ミサイル発射情報」などの速報は、消防庁が運用する全国瞬時警報システム(Jアラート)を使って全国の省庁、自治体や、マスコミなどに配信されます。速報を受信した自治体は、屋外に設置されている防災行政無線のスピーカーなどを使って住人にお知らせをします。この情報は同時に携帯電話各社(docomo, au, SoftBank)にも配信され、各社の通信設備を使って皆さんの手元のスマートフォンに送信されます。
- 国民保護室・国民保護運用室 (総務省 消防庁)
このとき携帯電話各社が利用するのは、緊急地震速報を送信するのと同じ「エリアメール」「緊急速報メール」というサービスです。これらのサービスは、「ETWS」(Earthquake and Tsunami Warning System)という仕組みを利用しており、通常の通話やデータ通信と異なる方法で対象エリアに一斉にメッセージを届けることができます。
以前にもこのblogで取り上げたとおり、格安スマホ(MVNO)をご利用の皆さんにもETWSの信号は届いています。しかし、スマートフォンによっては信号を受信しても全く反応しなかったり、一部のメッセージしか表示しなかったりすることが確認されています。
IIJの調査では、「地震・津波」についてのメッセージは多くのスマートフォンで表示可能なものの、「地震・津波以外」のメッセージはほとんどのスマートフォンで表示不可であることがわかりました。
前述の調査では、災害の際に自治体が住民に対して送信する「自治体独自の防災情報」を想定し、その信号を模擬する設備を使ってテストを行いました。しかし、今回注目が集まっている「Jアラート」については、自治体が送信する防災情報とは異なる枠組みで送信されており、実際にどのような信号が送信されるのかIIJに情報がなく、Jアラートを模擬したテストが行えていません。このため、厳密には「受信できるかどうか未確認」という状態です。
とはいえ、いざJアラート発報の際にメッセージが受信できない可能性があるというのは心配かと思いますので、SIMフリースマートフォンをご利用の方は消防庁が推奨するアプリの利用も検討頂ければと思います。(仮に二重に受信したとしても差し支えありませんので)
どうしてiPhoneだと受信できるのか?
一方、iPhoneをご利用であれば、MVNOをご利用の皆さんでもJアラートを含めた「エリアメール」「緊急速報メール」が受信可能となっています。これは、iPhone・iOSに含まれる「キャリア設定」という仕組みのためです。
iOSには、docomo, au, SoftBankなどの携帯電話網固有の情報をAppleがとりまとめた「キャリア設定」という情報が含まれています。iPhoneにSIMカードを取り付けると、そのSIMカードに応じたキャリア設定が自動的に反映されるようになっています。IIJmioのようなMVNOでは、docomoやauの通信設備を借り受けるのと合わせて、それぞれの会社のSIMカードも借り受けています。このため、MVNO契約の皆さんにお渡ししているSIMカードは、docomo、auのSIMカードそのものです。結局iPhoneにMVNOのSIMカードを取り付けると、「キャリア設定」の中からdocomo, auの情報が自動的に反映されるのです。
この「キャリア設定」の中には、ETWSについてどのような信号に反応すべきかが書かれている部分があります。MVNOの利用者であっても、docomo、auのETWS設定が反映された結果、適切にメッセージを表示することができるのです。